関東の古墳&陵墓研究

関東地方(主に埼玉県や茨城県)の古墳や遺跡、神社仏閣等を見学し紹介してます。 個人的に好きな陵墓関係の記事や書籍も紹介してます。

かすみがうら市

皆様こんにちは~(^▽^)

本日は折越十日塚古墳から北北東に450m程進んだ、
畑地内に残存している古墳を紹介します(^^
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白幡古墳群と呼ばれる、帆立貝型古墳1基、円墳10基から構成される、
古墳群でココから更に北東に300m程進むと、坂稲荷山古墳群が有ります。

上の画像は白幡古墳群の1基で、坂稲荷山古墳へ向かう道沿いに有り、
周囲に遮る様な建物が一切無いので、道路からも一際目立つ墳丘です(^^
北西側の道路上に路駐して急いで見学と撮影を済ませました。
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少し近づいて南側から。。。
古墳の南側は樹木畑になっており、反対側の北側は畑になってます。
一応玄関先に居らした付近の住民の方に声を掛けてから、古墳へ接近しました。
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北側から。。。
ご覧の様に完全に藪になってしまっているので、
墳頂部へのアタックは止めておきました(^^;
墳丘斜面がかなり急角度な為、埋葬主体部は横穴式か、
石棺埋納タイプのどちらかだと思われます。
周囲を観察してみましたが、ところどころで窪みが見られる事から、
周濠も有るかと思われますが、いばらきデジタルマップには、
古墳群名と構成基数しか記載が無い為、分布調査のみで、
未調査(未発掘)の可能性が高いです。
また、土器片なども見られませんでした。

また、円墳10基と帆立貝型1基と上に書きましたが、
周囲にはこの古墳以外に墳丘が見られ無い上、
帰宅後にグーグルマップなどでも確認してみましたが、
やはり確認できないので、他は消滅してるかもしれません。
今後見つけ次第、また茨城に行く時に見てみようと思っております(^^

※古墳所在地ですが私有地内の為、詳細は控えさせて頂きます。
:白幡古墳群(写真の1基):
・所在地:かすみがうら市坂付近
・墳形:円墳

・規模:直径25m✖高さ3.5m
・周濠:不明 墳丘周囲一部で窪み有り
・埋葬主体部:不明
・出土品:不明
・築造年代:後期~終末期
・備考:白幡古墳群(円墳10基、帆立貝型1基)
    駐車スペース無し
    畑地(私有地)内に現存

皆様こんにちは~(^▽^)

本日はかすみがうら市の折越という地名に有る、
コチラの古墳を紹介します(^^
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南西側&前方部側から見た折越十日塚古墳の全景。
古墳名の読み方は「おっこしとおかづかこふん」と読みます(^^
季節的に墳丘に登れるかも?と思いながら行きましたが、
雑木林と下草に覆われて、墳丘には登れない状態でした(^^;
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後円部くびれ部寄りに設置された説明パネル。
近畿では7世紀に入ると大きな墳丘は造られなくなりますが、
関東地方では7世紀に入っても前方後円墳が造られてます(^^;

また、説明板には「後円部に巨大な石材の横穴式石室が確認されている」
・・・との記載が有りますが、前回紹介した太子古墳と同様、
玄室奥壁と前室左右側壁内に朱による線や彩色が施された装飾古墳でも有ります。
しかし、現在は壁画や線刻の保護の為か、石室は埋め戻されており開口はしていません。
開口部が多く見られる南側を中心にくまなく観察してみましたが、
封土斜面は深い木立と下草で覆われていた為、石材の露出などは見られませんでした

この古墳、測量調査で二重の周濠が巡る事が確認されている事と、
石室内部に箱型石棺が安置されており、彩色や線刻が有る事だけが、
判明しているのみで、墳丘の詳細な調査が実施されていない模様で、
出土品などは知られていません。

※2022年追記『常陸の古墳群』より
2008年に実施された周濠確認の為の発掘調査および報告書によると、
盾型の二重周濠が確認され、周濠内から大量の土器片が出土。
古墳が縄文~平安時代頃までまたがる住居跡群の上に有る為で、
特に奈良時代の土師器や須恵器(坏蓋、高台を伴うものと伴わない坏身、
高坏、大甕)、他に縄文時代の磨製石斧、十王台式の弥生土器なども出土。

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後円部側から前方部方向を見た感じ。
説明板が設置されている側は畑地となっているので、
見学はし易いですが、反対側(東側)は周濠では無く、
深い谷になっている上に、不法投棄と思われる家電などが散乱しているので、
見学の際は誤って落ちない様ご注意下さい(^^;

以前紹介した坂稲荷山古墳からは南西方向に800m程の距離ですが、
道幅は大変狭く、私の自家用車でギリギリ
車を一時停車させて頂いた場所も畑地へのアクセスである、
これもまた大変道幅が狭い未舗装の農道でした
ココに行く時は二輪か小型車が良さそうです(^^;

また、前方部の南東方向に行くと民家が有りまして、
古墳に近い場所に・・・・・
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良く吠える番犬が飼われてますので、ご注意下さい(^^;

:折越十日塚古墳:
・所在地:かすみがうら市坂折越3518
・墳形:前方後円墳
・規模:全長約72.3m 
    後円部径41m✖高さ約5.4m
    前方部幅43.5m✖高さ4.8m
・周濠:有り 二重
・埋葬主体部:板石で構築された副室構造横穴式石室
       奥壁前に箱型石棺
       玄室奥壁と前室左右側壁内に朱による線や彩色有り
・出土品:縄文~平安時代の遺物
     縄文土器、弥生土器(十王台式)、カワラケ、柚つき土器、
     須恵器(大甕、高坏、坏蓋、坏身、器種不明)、
     土師器(壺、甕、高坏、坏身、椀、高台付皿、器種不明)、
     近世瓦
・築造年代:7世紀前半
・史跡の指定区分:町指定
・備考:駐車スペース無し(道幅大変狭し) 
    石室は埋め戻し保存
    2008年周濠確認調査実施    
    2010年測量調査実施

皆様こんにちは~(^▽^)

本日はかすみがうら市安食に有る太子古墳群の続き記事となります。
主墳と見られ彩色が施された石室が開口している太子古墳の、
近隣に散在する4基の墳丘を紹介します。
いばらきデジタルマップを見ても「太子古墳群」と記載されているのみで、
各古墳の名称やナンバリングは不明なので、
どなたか情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、
ご教示頂けると幸いです m(_ _)m

1基目はコチラ。。。
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「太子古墳」の看板の向かい側に有り、
「安食の庚申塔」とグーグルマップに記載されている箇所です。
上の写真は南西方向から撮影しました。
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北から。
直径10~15m前後✖高さ1.5m程の楕円丘となってますが、
元は直径20m前後であり、現在は墳頂部が削平されて庚申塔が建てられてますが、
現在よりも数mほど高かった様に思われます。
墳丘の奥は畑地になってますが、墳丘が有る北側は草地となっています。
ただし、私有地の可能性が有るので、見学の際はご注意下さい。
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南西側から近づいて。
墳丘上には少量の下草と、頂部の庚申塔脇に低木が有る程度で、
封土の観察が容易なので、じっくり観察できました(^^
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葺石や石室材を思わせる様な石材は有りませんでしたが、
埴輪片や土師器と思われる土器片が多数東側墳丘斜面で見られました。

2基目はコチラ。。。
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1基目に紹介した墳丘から北に50m程進んだ所に有る、
現在は稲荷神社となっている境内に有ります。
グーグルマップで見ると、この場所だけ竹林が広がっており、
この神社を建立する為に竹林が開発された様に思われます。
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2本目の鳥居をくぐった所から撮影しました。
墳丘は奥に写っている社殿の下となります。
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高さは1.5m程、削られているので方墳にも見えますが、
実際に太子古墳群には方墳が1基含まれているので、
消滅した4基に方墳が含まれていなければ、
この墳丘が方墳に該当するかもしれません。
ただ、社殿背後の竹林側に接している側は緩やかな弧を描いているので、
円墳であるかもしれません。
現存規模は、1基目より一回り以上大きく、
直径15~20m以上(方墳であれば南北15m✖東西20mくらい)有ります。
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墳頂部の様子。
頂部は平らに均されており、土器片などの破片は皆無でした。
主体部も破壊されている様に感じました。

また、周囲の竹林もびっしり竹が生い茂っていて、
内部には入れませんでしたが、竹林内には墳丘様の物体は見られませんでした。

古墳所在地はかすみがうら市安食 稲荷神社で、
太子古墳東側の道路(石岡田伏土浦線)を挟んだ向かい側です。

3基目4基目はコチラ。。。
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現在は個人の墓地になっている赤丸で示した2箇所の隆起が、元は墳丘であると思われます。
この場所も各所に竹の切株が見られる事から、元は竹林内だったと思われます。
規模はどちらも削平を受けていますが、直径10m前後の円墳ではないかと思われます。
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両方の隆起上で土師器と思われる土器片をそれぞれ見つけました。
こちらでも埋葬主体部に関わる様な石材などは皆無でしたので、
木棺直葬タイプではないかと思われます。
個人の墓所である為、内部に入っての撮影は躊躇われたので、
道路上からのみ撮影しました(^^;

※古墳所在地ですが神社以外は私有地の為、詳細は控えさせて頂きます。
:太子古墳群:
・所在地:かすみがうら市安食
・概要:前方後円墳1基(太子古墳)、方墳1基、円墳6基

・現況:4基消滅、庚申塔(1基目)、神社社殿基礎(2基目)、
    墓地内に一部削平状態で保存(3、4基目)
・埋葬主体部:不明
・出土品:不明 土器片・埴輪片散見
・築造年代:6世紀後半~7世紀
・史跡の指定:未指定?
・備考:太子古墳は県指定史跡だが
その他は指定不明
    駐車スペース無し(路駐)

皆様おはようございま~す(^▽^)

本日はかすみがうら市安食(あじき)に有る、
太子古墳群(前方後円墳1、円墳6、方墳1の内4基消滅)から、
奥壁に赤(ベンガラ?)い彩色が見られる石室が開口している、
こちらの古墳から紹介します(^^
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太子古墳群 太子古墳/石のカロウド全景。
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県指定史跡らしく、案内板も設置されています(^^
・・・が、駐車場や駐車スペースは無いので、
古墳前の道路端に路駐しなければいけませんので、
見学にはあまり時間を掛けれないのが欠点(^^;
また、グーグルマップには記載されていませんが、
この看板の直ぐ横に「安食の庚申塔(これも古墳です)」と記載されているので、
見学の際はコレを目印にされると良いと思います(^^
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石室開口部に接近した所。。。
元は全長60m程の前方後円墳でしたが、
民家建設や道路敷設などで石室開口部周辺のみが残る状態で、
後は全て削平されてしまってます。
羨道ももう少し長かったのですが、道路敷設により破壊されてます。
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開口部脇に設置されている説明板。
前室を持つ複室構造の両袖型横穴式石室で、雲母片岩の板石を組み合わせて構築し、
玄室奥に組合式箱型石棺が安置されてます。
石室内部からは2人分の人骨が出土しているそうですが、
石棺は幅が狭いので、おそらく石棺の前に木棺を置いたと思われます。
石棺内からは直刀、刀子(現代のカミソリ的な物)、須恵器などが出土してます。
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石室実測図
彩色は奥壁と側壁の一部に赤丸の彩色が施されていた様です。
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前室部分右側壁の様子。
板石を積み重ねて構築しています。
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前室部分左側側壁の様子。
コチラも板石を積み重ねてますが、石材がだいぶ抜かれている様で右側側壁と比べると、
1段分少ないです。。。
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玄室内部。
奥壁の中央から上部分に赤丸の彩色が一部見えますが、
特に右側下部辺りは常に開口しているからか、剥落してしまっている様に思います。
一見すると玄室内は広く見えますが、奥壁幅1.3m✖玄室高さ1.35m程度の規模しか無く、
膝を痛めていた事も有り、内部には入りませんでした(^^;
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袖石は上の方が削られているのか、元々この高さだったかは不明ですが、
しっかり両側共残ってます。
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開口部の前には羨道と前室部分に使用されていたと思われる、
たくさんの板石が散らばってます。

※古墳所在地ですが私有地内の為、 詳細は控えさせて頂きます。
:太子古墳群 太子古墳:
・所在地:かすみがうら市安食
・墳形:前方後円墳
・規模:全長約60m
・周濠:不明
・埋葬主体部:雲母片岩板石使用の複室構造横穴式石室
       組合式箱型石棺を奥壁前に安置 
       全長3.86m 
奥壁幅1.3m✖玄室高さ1.35m
・出土品:人骨2体分、銀環、直刀、刀子、須恵器
・築造年代:6世紀後半
・史跡の指定:県指定
・備考:太子古墳群の主墳
    別称「太子のカロウド」
    玄室左右側壁に朱の丸紋有り(一部剥落)
    駐車スペース無し(古墳前に路駐)
    石室開口(常時見学可)
    墳丘は石室周囲を残して削平

皆様おはようございま~す(^▽^)

本日は富士見塚古墳群の3号墳から4号墳と、
5号墳と思しき物体を紹介します(^^;
4号墳と5号墳は公園の有る丘陵の端(4号墳は3号墳の北東側に近接)に、
現状保存されていて、古墳であると認識されているけれど、
発掘調査が実施されておらず、現地には説明板も無く放置状態です。

まずは、3号墳から。。。
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公園案内板で見ると、3号墳は3基の古墳が並ぶ最も東端に位置。
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南西側から見た富士見塚3号墳の全景。
こちらも2号墳同様に、墳丘上に樹木が1本しか無い上に、
下草が軒並み枯れていて封土の観察も容易です(^^
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3号墳の説明パネル
発掘調査により隣の2号墳より一回り規模が小さく、
墳頂部直下より内部が朱で赤彩されている箱形石棺が出土し、
女性と思われる人骨と刀子(現在のカミソリ的な物)2本と、
首飾りや腕飾りに使用されたと思われる多数のガラス製小玉が、
石棺内から出土し、墳丘からも円筒埴輪の他、人物や動物を象った、
形象埴輪が出土しています。
築造年代も6世紀末頃と推定されています。
一般的に6世紀後半には埴輪の出土はほぼ見られ無くなりますが、
関東の一部地域では7世紀に入っても土師器が出土するなど、
近畿とは違う傾向が見られるのが興味深いですね(^^

:富士見塚3号墳:
・所在地:かすみがうら市柏崎1553-3 富士見塚古墳公園内
・墳形:円墳
・規模:直径約18m✖高さ約4m
・周濠:有り 幅約9.3m
・埋葬主体部:箱型石棺 内側朱塗り
・出土品:刀子、壮年女性1体、ガラス製小玉
     円筒埴輪、形象埴輪
・築造年代:6世紀末
・史跡の指定:市指定


続いて4号墳を。。。
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4号墳の位置は3号墳の北東方向の木立の中。。。
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南から見た富士見塚4号墳の全景。
規模は隣接する3号墳とほぼ同じと思われますが、高さが1.5mくらいしかありません。
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近接と墳頂部の様子。
高さが余り無いのですが、3号墳と同じ箱形石棺埋納か、
木棺直葬タイプの埋葬主体部と思われます。
下草と枯れ枝/枯葉に覆われており、封土の観察は不可能。。。

:富士見塚4号墳:
所在地:富士見塚古墳公園内 3号墳の北東側木立内に所在
・墳形:円墳
・規模:直径約18m✖高さ約1.5m
・周濠:未調査の為不明だが南側に窪み有り
・埋葬主体部:未調査
・出土品:不明
・築造年代:7世紀前半
・史跡の指定:未指定


続きましては、丘陵の最も端に位置する、5号墳と思われる物体を。。。
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西から見た推定5号墳の全景。
丘陵上に有る為かなり大きく見えますが、2号墳に近い規模であると思われます。
また、発掘調査が実施されていないので断定はされていませんが、
円墳もしくは方墳ではないかと推定されています。
また、墳丘周囲を歩いてみましたが、窪みは見られなかったので、
周濠を持たない古墳かもしれません。
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墳頂部の様子。
コチラも枯れ枝や枯葉、下草が繁茂しており封土の観察はほぼ不可能。。。
樹木の根近くなどかろうじて封土が観察できる箇所が数箇所有りましたが、
葺石や主体部に関係しそうな石材や土器片、埴輪片などは全く見当たりませんでした。。。
4号墳も5号墳もせめて「古墳です」の説明板くらいは設置して欲しいですね(^^;

この他にも同じ丘陵上に墳丘を思わせる隆起が数箇所見られたので、
丘陵全体を隅々まで調査したら、5基以上の墳丘が築造されているかもしれませんね(^^

:富士見塚5号墳:
・所在地:富士見塚古墳公園敷地内 丘陵東端
・墳形:円墳もしくは方墳
・規模:直径約25m✖高さ約3m
・周濠:未調査
・埋葬主体部:未調査
・出土品:不明
・築造年代:後期~終末期
・史跡の指定:未指定
・備考:公園敷地内の丘陵上東端に有るが未調査の為詳細不明
    草木の茂る時期の見学には不向き

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